セラピストとしてのあのちゃん

あのさんは、音楽アーティストとしてメジャーレーベルに在籍されています。「ちゅ、多様性」という楽曲がヒットしてかなりその面での知名度が上がりました。しかしながら、あのさんのアーティストとしての本領は、それ以前も含め外の作品に多く表れていると感じています。
ポップでキャッチーなことで世間に受け入れられた「ちゅ、多様性」ですが本来、彼女のアーティストとしての真価は、そのメッセージ性にあると考えています。しかし、大衆は、美しい青春群像を謳った内容や、純粋なラブソングに共感する傾向にあります。あのさんの表現されるメッセージは、そういったものから一線を画する内容が多いように感じられます。
彼女のファンが一番好むといわれる「普変」という曲においても、メッセージ性が強いものとなっています。もっとも、この曲に関しては、クリープハイプ尾崎世界観さんが作詞していて彼女自身の作詞ではないのですが、素材は彼女自身が提供し、彼女の自己紹介的な内容だとご本人も語っておられます。しかし、やはり一般大衆の共感はあまり得られずに大きなヒットとはなりませんでした。ただし、The First Take でのパフォーマンスの秀逸さからやっと世間に認知されるという現象もあり、稀有なボイスを持ったボーカリストとしての認知は高まりました。

この度、「涙くん、今日もおはようっ」という新曲がリリースされました。この曲にもメッセージが込められていてあのさんの本領が発揮されている曲だとも言えます。過去のご自身のいじめられ体験をモチーフにしたMVは、メッセージ性が高いです。今回は、神聖かまってちゃんのボーカルの子さんのとの共作です。逆に、この曲も大きなヒットとはならないのではないかと考えています。彼女のメッセージは、社会での弱者に対して優しく寄り添うような内容になっています。
彼女自身は、全く意識していないかもしれませんが、それらはミュージックセラピーの原則に沿ったものとなっているようにも感じられます。
それは、ファーストシングルの「デリート」の中にも表れています。
ミュージックセラピーの原則として、暗い気持ちの時は、同じ暗い色合いの音楽での共感性で気持ちを吐き出すことから行われます。元気がないから明るい曲というのは逆効果なわけです。同じ心情の曲から初めて、徐々に明るい曲調に変えていきます。「デリート」の一曲の内容を見ても、陰鬱な叫びから 始まり、最後に明るい希望を見せるような展開になっています。
リリース順に、追っていくとその傾向が全体にも見えてくるような気がします。「デリート」から始まり今回の明るい曲調の「涙くん、今日もおはようっ」までの流れはあたかもセラピーの流れのように見えてくるのは、私だけでしょうか?否、SNS上でのファンの声からは、以前から「実際に」救われたというものが沢山あり、事実として捉えてもいいと思っています。
すごいのは、そこに計算というものが、全く存在しなくて、結果そうなったということです。彼女の存在自体がプロヂュースされたものではなく、彼女の言い方で言えば「僕が僕であること」によって成立していることなのであります。

この記述は、先日、noteに掲載したものですが、さきほど新たな「事実」が判明しました。

「涙くん、今日もおはようっ」は、赤ちゃんを泣き止ませる効果があるということです

 

 

専門家の分析では、楽曲の周波数的特徴とあのさんの発音の特殊なことが原因だとされていますが、私は、あのさんの声自体に赤ちゃんを魅惑する要素があるのだと思っています。特に、「ちゅ、多様性」や「スマイルあげない」などの楽曲を幼児が好んで聞くという現象は、以前から報告されていたことであるからです。

ナチュラルギフトとは、正にこのことだなと感じる次第であります。